好奇心旺盛だから、内容は支離滅裂。

by covaemon

クロスしたのはファイアだけではなかった。

「クロスファイア」である。
もちろん、これの序章と言われている「燔祭」も先に読んでいる。
「燔祭」を読んだときはなんだか変な話だよなあ。って思っていた。
それもそのはず、俗に言う超能力をテーマにしたものだからだ。

でも、「クロスファイア」を読み終わった感想は、「なんて素晴らしい作品なんだろう」だ。
これから書くことはすこし内容をばらすようなこともあるだろうけど、ほく自身ちょっと興奮しているので、許してもらおう、それにほとんどの人が内容は知っていると思うのだ。

簡単に言ってみれば、主人公の女性が死んでいくストーリーなのだが、その中に込められたものはとても言葉では言い表せないような読んでいて素直にわくわくしてくる。

主人公の女性と書いたが。これは宮部作品では数少ない主人公は誰だと、誰でも言える作品だと思う。
ただ、この女性、悲しいんですよね。もうとても涙無くしては読んでいられない。ただ、この女性を好きかといわれたらそうじゃないと答えるだろう。

ぼくは、宮部作品を読むときはその中の登場人物の誰かを好きになろうとするのだ。だから、好きになれないような人たちばっかりだとその作品はあまりいい印象がない。このクロスファイアでは女性の刑事がいい。おばさんらしいのだが、考え方がそのへんの若い奴よりよっぽどすっきりしている。

だから、主人公の女性のパートは読んでいるのが辛かったので、この刑事のパートに早く移らないかと思っていたぐらいだ。

そんなことよりもだ、この「クロスファイア」ほんとに素晴らしい。超能力をあつかってはいるけど、そんなのどうでもいい。ぼくみたいなのが言うのはおこがましいが、構成力、ストーリー性、そして、その中に貯め込まれているパワーのようなもの。ただただ、脱帽するしかない。

最初、読み始めたときから主人公の女性は死ぬんだと思ったのだが、途中でひょっとしたら死なないかもと思ったりもした。だから最後はどうのようになるのかと思っていたのだが、やっぱりあれしかなかったよなって素直に感じる。
ただ、死に方はもうちょっとロマンティックにしてほしかったかも。

それから、「燔祭」といっしょに掲載されていた「朽ちてゆくまで」。これもものすごく気に入っている。
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by covaemon | 2006-04-11 15:07 | 書き物 | Trackback | Comments(9)
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Commented by kazemachi-maigo at 2006-04-11 15:41
「クロスファイア」は悲しすぎます。
そしてたぶん、私は女性だからかもしれませんが、あの主人公は嫌いじゃありません。
もちろん、おばさん刑事は、とても魅力的で(宮部作品のキャラはどれもみんな魅力的ですが)、私は彼女を主人公にした別のシリーズもあっていいとさえ思っているのですが、一方で、ヒロインのどうしようもない生き様にも魅かれるのです。
あ、自分がそうありたいということではなくて。
そう思わせるのは、きっと作家の力量なんでしょうね。

私は、宮部作品の登場人物は、みんな好きなんです。
好きになろうとしなくても好きなんです。
それが犯人側でも、なぜか魅かれて感情移入してしまう。
それもまた彼女の力量だと、敬服しています。
私はたぶん、宮部ワールドの罠にどっぷりとはまりこんで、逃れられなくなっているのです。
助けてくれ~
Commented by covaemon at 2006-04-11 21:24
たしかにぼくもどっぷりとはまりこんでおります。ただ、男の登場人物にあんまり好きでないのが多いのですよね。たいだい女性は好きなんですけどね。
しかしこの「クロスファイア」ほんとにいい作品ですよね。陳腐な言い方ですが、何度涙した事か。あ、そうそう、これを電車の中で読んでいて遅刻したんですよね。
でも、これだけ、ぼくが感情移入できた登場人物は彼女以外にはいないです。もし、目の前に「青木淳子」って名前の人が現れたら、それだけでぐらってきてしまいそうです。(だから男は単細胞って言われるのだろうね)
ここだけの話ですが、パソコンのパスワードを変更したのは言うまでもありません。
Commented by kazemachi-maigo at 2006-04-11 21:58
宮部作品は、主人公だけじゃなくて、脇役のキャラが秀逸なんですよね。
おばさん刑事もそうですが、「火車」の今井事務機の社長、従業員のみっちゃん(マニアックですみません)なんか、抱きしめたくなるほど好きなんです。

名前だけで、ぐらっときちゃうんですか(笑)。
でも、わかります。
単細胞じゃなくて、真っ直ぐなとでも言い換えますか(笑)。
Commented by covaemon at 2006-04-11 23:20
kazemachi-maigoさん。
なるほど脇役か。今井事務機、わかります。ほんとマニアックですねえ。
ぼくは「レベル7」の「みさお」って女の子が気に入ってますね。で、そのお母さんもいい感じ。
で、ぼくは思うのですが、宮部作品に出てくる女性はみんな潔いイメージがあるのですよね。だから好きなのかもしれません。それに比べて男はどうもね。「帆網犯」の高校生の男の子なんて嫌いですね。しゃきっとせんかいって言いたくなります。ああ、でもあのルポライターの女性も好きではない。あの人はなぜだか、潔くないですよね。ぼくは、ラストであの夫婦がもとにおさまったのが許せないのです。
Commented by kazemachi-maigo at 2006-04-12 08:14
宮部氏は、悪人にでも(犯人にでも)、やはり愛情を注いでいると感じられます。文字にはしていなくても、どこかに「救い」を残しているような気がします。
しかし、現実の犯罪や犯罪者には、どう探してもそんな「救い」の見出しようもないものもあり、そんな現実をきっぱり見つめることの重要さも、氏は承知しているのだと思います。
それが、「模倣犯」であろうかと思うのです。
あの「ピース」とルポライターの女性、この割り切れない「なんだかいやーな感じ」が、氏が現代に抱いているイメージなんでしょう。
でも、私は「模倣犯」の豆腐屋のおじさんのファンです。

それから「誰か」。
これは、ものすごく地味なんですが、「いやーな女」が登場する割りに、読後のすがすがしさが印象的です。
美空ひばりが聴きたくなります。
ロッカーには笑われるかもしれませんが(笑)。
Commented by covaemon at 2006-04-12 10:09
kazemachi-maigoさん。
そうですね。どの作品にも根底には「愛」が溢れています。「救い」については、以前書いたかもしれないのですが、ブリューゲルの絵のように、残酷なんだけど、どこかに救いがあるような感じがするんですよね。
「誰か」はまだ読んでないです。
美空ひばりはね、ぼくは常々「美空ひばりは世界一のボーカリストだ」って公言してます。音楽が好きならどんなジャンルであっても本物は認めなければいけません。
Commented by kazemachi-maigo at 2006-04-12 19:46
おお、ブリューゲル!
大ファンです。
彼の作品は、非常に寓話的ですが、権力も神様も、残酷で不幸な出来事も、「たいしたことないじゃん!」って言ってるような気がします。

「誰か」には美空ひばりの「車屋さん」が重要なモチーフとして使われてるんです。
なんとなく切なくて懐かしくて、胸がキュンとします。
いつか機会がありましたら、ご一読ください。
Commented by covaemon at 2006-04-13 10:10
いやあ、ブリューゲルを好きな人がおられたとはうれしい限りであります。
寓話はあんまりわからないけど、なのなんとも言えない色使いと、これから、危ない目にあうかもしれない場面なんだけど、その向こうには救いの手が差し伸べられているってかんじですかね。一度でいいから、本物を見てみたいんですけどね。
「誰か」早く読んで見たいです。
そうそう、
http://booklog.jp/tana.php?ac=pepanda
に、ぼくの読んだ本とかを載せてますので、もしお時間があれば覗いてやってください。
Commented by kazemachi-maigo at 2006-04-13 14:59
ブリューゲルファンはなかなか多いですよ。
難しそうな題材も、市井の人々と同じように描きこんでしまうからじゃないでしょうか。
それに、人物や得体の知れない生き物たちも可愛い!

サイト拝見させていただきました。
凝った作りになっていますね~。
びっくりして感心しました。
で、やっぱり圧倒的に「宮部みゆき」なんですね(笑)。
時代劇ファンの私としては、「ぼんくら」なんかも読まれていたのでうれしくなってしまいました。
ありがとうございました。